ボトックス外来

痙縮(けいしゅく)

痙縮(けいしゅく)のイメージイラスト

  • 筋肉が緊張しすぎてしまう状態で、手足がこわばったり、つっぱったりします。
  • 片まひと同じ側の手足にあらわれることがほとんどです。

1.痙縮について

脳卒中の後遺症としてみられる運動障害のひとつに痙縮(けいしゅく)という症状があります。痙縮とは、筋肉がつっぱり、手足が動かしにくくなったり、勝手に動いてしまう状態のことです。このような状態になると、手の指が握ったままで開きづらい、肘が曲がり伸びづらい、足の先が足の裏側の方へ曲がってしまうなどの症状により、日常生活に支障をきたしてしまいます。また、痙縮そのものがリハビリテーションの障害となることもあるので、痙縮に対する治療が必要になります。

痙縮(けいしゅく)のイメージ写真

2.痙縮の治療について

痙縮の治療には、内服薬、ボツリヌス療法、神経ブロック療法、外科的療法、バクロフェン髄注療法などがあります。実際、痙縮の程度や範囲、患者さんの希望などを考慮し、リハビリテーションとこれらの治療法を組み合わせて痙縮の治療を行います。

ボツリヌス療法

注射器のイラスト

  • つっぱったり、こわばっている筋肉に、直接お薬を注射します。
  • 注射した筋肉のつっぱりやこわばりをやわらげます。

3.ボツリヌス療法について

ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンと呼ばれるたんぱく質を有効成分とする薬を筋肉内に注射し、痙縮の改善を図る治療法です。ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。そのためボツリヌストキシンを筋肉内へ注射すると、筋肉の緊張をやわらげ、痙縮を改善することができます。ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。ボツリヌス療法によって、次のような効果が期待できます。

  • 手足の筋肉が柔らかくなり、動かしやすくなる。
  • リハビリテーションを行いやすくなる。
  • 関節が固まるのを防ぐ。
  • 痛みをやわらげる。
  • 介護の負担を軽減する。

ボツリヌス療法のイメージイラスト

ボツリヌス療法を受けた後に、副作用として以下のような症状があらわれることがあります。これらの症状は多くが一時的なものですが、症状があらわれた場合には、医師に相談してください。

  • 注射部位がはれる、赤くなる、痛みを感じる。
  • 体がだるい、力が入らない、立っていられない。

    ごくまれに次のような症状があらわれることがあります。これらの症状があらわれた場合には、すぐに医師に相談してください。この他にもボツリヌス療法を受けた後に、何かいつもと違うなと感じることがありましたら、医師に相談してください。

  • 吐き気がする。
  • 呼吸が苦しい。
  • 全身が赤くなる。
  • 物が飲み込みにくい。
  • けいれんが起こる。

4.ボツリヌス療法の進め方について

ボツリヌス療法の効果は、注射後2~3日目から徐々にあらわれ、通常3~4ヵ月間持続します。その後、数週間で効果は徐々に消えてしまうので、治療を続ける場合には、年に数回、注射を受けることになります。ただし、効果の持続時間には個人差があるので、医師と相談をしながら治療計画を立てていきます。

治療スケジュール例

治療スケジュール例

5.費用について

ボツリヌス療法は、上下肢痙縮(手足の筋肉がつっぱっている状態)に保険適応がありますが、注射薬そのものが非常に高価なため、身体障害者手帳(1~2級)をお持ちでない方は、医療費が高額になる場合があります。具体的な費用の程度は、使われる量にもよりますが3割負担の場合、15,000円程度から60,000円程度になる場合があります。

ボツリヌス療法の費用について、医療費助成制度を利用できる場合があります。詳しい医療費の負担については、実際の診療の際にご説明します。

6.ボトックス外来受診の患者さんならびにご家族の方へ

以下を十分にご理解ください。

  • ボツリヌス毒素は魔法の薬ではありません。注射を打っただけで動かなかった手足が動くようになるわけではありません。あくまでも硬くなった筋肉を柔らかくすることで、適切なリハビリテーションを行いやすくするものです。リハビリテーションと併用しなければ効果はありません。また筋肉がつっぱっていない人(痙縮がない方)は治療の対象となりません。
  • 効果の持続は、3ヵ月から4ヵ月程度です。効果の持続とリハビリテーションの量は相関しており、日頃からしっかり自主訓練ができている患者さんほど長く持続します。一回行えばそれで終わりの治療法ではなく、繰り返し定期的な投与とリハビリテーションの継続が必要な治療法です。
  • 効果は個人差が大きいことをご理解ください。目標は相談して決めますが、もっとも重要なことは、ボツリヌス療法を行うことで、○○ができるようになりたいという具体的かつ現実的な目標があり、患者さんもそれに納得されていることです。
  • 脳卒中発症後、長いことストレッチなどがされておらず、動かされていなかった麻痺の手足は、筋肉そのものが短縮したり、関節が固まってしまいます。これらの方には筋肉を柔らかくしても効果が得られないので適応とはなりません。

眼瞼痙攣

眼瞼痙攣は、間代性・強直性の攣縮が両側の眼輪筋に不随意に反復出現する病態です。発症は下眼瞼部のピクピク感から始まり、次第に上眼瞼部に進行し、重症例では開瞼障害を来して機能的な失明状態に至ります。自然軽快はまれです。

本態性の眼瞼痙攣は、大脳基底核を含む運動制御システムの機能障害によって生じると考えられています。その他、パーキンソン病などの症候性、向精神薬などの投与後にみられる薬物性の眼瞼痙攣があります。
特に40~60歳代の中高齢者で発症率が高く、男女比は1:2~3と女性に多くみられます。

眼瞼痙攣の主な症状

眼瞼痙攣にもボトックス注射が効果が認められ,保険にて投与可能です。

痙縮情報ガイド

一番上に戻る
お問い合わせ TEL:0493-35-3535